軟骨無形成症の原因は?
コウノスケ
ふくろう三賢者
骨が成長するときには軟骨が働く
成長期の子どもの骨には、成長板(または骨端線)と呼ばれる軟骨細胞でできた部分があります(下図左)。骨が伸びるときには、この成長板が大事な役割を担っています。成長板では、軟骨細胞が数を増やし(増殖し)、性質を変えながら(分化しながら)、徐々に硬い骨に変わっていきます。体の大部分の骨は、このように伸びます。
骨の成長にかかわるFgfr3遺伝子
軟骨無形成症の原因は、 Fgfr3と呼ばれる遺伝子の変異です。Fgfr3遺伝子に変異があると、Fgfr3遺伝子からつくられるFGFR3分子の働きに異常が起こり、成長板にある軟骨細胞がうまく働かなくなります(下図右)。骨の成長に必要な軟骨細胞の増殖と分化が、うまく進まなくなってしまうのです。
軟骨細胞におけるFGFR3の働きと軟骨無形成症
FGFR3の働きをもう少し詳しくみてみましょう。FGFR3は軟骨細胞の表面にある受容体と呼ばれる分子(下図)で、FGFR3は骨の成長を抑えるシグナル(信号)を軟骨細胞の中に送ります。
軟骨無形成症では、Fgfr3遺伝子の変異により、FGFR3シグナルが過剰に活発な状態になります。つまり、骨の成長を抑えるシグナルが強すぎるため、骨の成長が妨げられてしまうのです。
CNPの働きとボックスゾゴ®
軟骨細胞には、骨の成長を促すシグナルを送る受容体もあります。NPR-B※1に、CNP※2と呼ばれる分子が細胞の外側でくっつくと、骨の成長を促すシグナルが送られます。このように、CNPはFGFR3シグナルを抑える働きをします。
ボックスゾゴ®は、このCNPと同じ働きをすることによって、骨の成長を促します。
※1 ナトリウム利尿ペプチド受容体B
※2 C型ナトリウム利尿ペプチド